みなさま、大変大変ご無沙汰いたしております。行政書士の吉田です。今日は医療法人新規設立についてちょっと書いてみようかと思い立ちました。
本年は某県において、2県の医療法人新規設立の手続きを行いました。1月から書類集めを開始して、無事に2件とも今月保健所への開設届を提出出来たところです。
この流れの中で、一番時間がかかるのは、何と言っても県による医療法人設立認可申請書類の事前審査です。3月に素案(押印が無い状態での案文)を、指定されるすべての添付書類と共に提出した後、本申請が今年については7月末。これまでの4箇月、県と当方でのやり取りを重ねて、微修正を行っていきます。やはり人のやることですから、どうしてもエラーは出てしまいますし、当初指定されていなかったけれど設立には必要と思われる添付書類を追加で収集・作成しなければならないこともあるからです。
9月に医療審議会を経て医療法人設立認可書が出たら、後は流れ作業です。司法書士先生による登記を終えたら、保健所への開設許可申請、開設許可書発行の後個人院廃止届と医療法人立院の開設届提出。その後厚生局へと続きます。
以下の図は、ざっくりとした医療法人設立手続きの流れです。これをご覧頂けると、医療法人設立ってどんなものか、という所をご理解いただきやすいかと思います。
医療法人の設立って、なんでこんなに時間がかかるんでしょう。
医療法の概念として、「非営利性」「永続性」「公共性」という3つの柱があります。この概念に当てはめると、医療法の仕組みが概ねわかりやすくなるのですが、都道府県の法人設立審査においては、これは肌感覚ですが、「非営利性」、つまり役員及び役員親族への利益供与がないかどうか、という点が、最も重視されているように感じます。規定として定まっていないので都道府県によって差はありますが、社員及び役員のうち指定の率で、親族等以外の第三者を入れることを必須としている都道府県もあります。
このあたりを明瞭に書面で証明すること、がとても重要になって来るからです。
この3つの概念を前提としつつ、診療所毎に異なるコンディションを考えながら都道府県等からの指摘を予測し、必要書類を取りまとめ、整合性のある書類として全体を整えるのが、行政書士の仕事だと思っています。
とても時間のかかる作業ではありますが、医療法人化すると「分院を作れる」「財布を個人と切り分けることが出来る」など、理事長先生にとっては将来を見据えやすくなるメリットがあるのは間違いないでしょう。とはいえ、ケースバイケースでメリットもあればデメリットもあります。こればかりは、私共には計り知れない、理事長先生の「医療法人に対する思い」や「経営手腕」「法的理解度」と言ったところにもつながって来ますので、一概にメリットしかありません!とは言えない所が難しいところです。
ただ、そろそろ何かの動きを出したいとお考えの先生にとって、まずは一回「医療法人化したらどうなるんだろう」とお考えいただく事は、今後の診療所発展にあたっても重要なポイントになってきます。まずは税理士先生にご相談いただきつつ、私にもお気軽にお声がけを頂けましたら、税務面だけではなく、行政からの見え方、といった点においてのご相談にも応じさせて頂くことが可能ですので、是非お気軽にお問合せ頂けましたら幸いです。