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【医療行政ブログ】手続きの地域差

大変ご無沙汰しております。医療専門行政書士の吉田真美です。大変長らく、ブログをご無沙汰してしまっておりました。今年は書きます!

お陰様で、開業以来多くのお手続きに携わらせていただいております。私は東京に事務所を構えていますが、九州から北海道まで、全国からのご相談を頂き、飛び回らせていただく事が出来ているのは、本当にありがたいことです。今はネットの発達、またコロナ禍に流れの出来た「押印廃止」の影響もあり、正直どこにいてもほぼほぼ問題なく仕事が出来る、というのが実情です。

医療法人の所管をするのは、主たる事務所のある都道府県知事です。そのため、定款変更や新規医療法人設立など、多くの都道府県への書類提出を行ってきました。そんな中で感じるのは、やはり書類の地域差、です。

定款変更に関する部分を今日はお話してみたいと思います。東京では、予算の変更を伴う定款変更の申請書類素案提出時に、直近の決算書の「内訳書」まで提出することが義務付けられています。これは、東京に大変多くの医療法人があり、地方には無い活動(例えば自由診療100%で健康診断だけを行っている医療機関等)があることから、お金の流れ方が保険診療をベースにする診療所を基準には出来ない、というところからの発想と思われます。所管庁に想定できない収入が増えるという事は、一歩間違うと医療法に触れる、もしくはすれすれな支出というものも多く見受けられてしまいがちだからです。そのため、東京(だけでは無く、近年関東圏の所管庁では、追加請求をしてくる官庁も出てきています)に主たる事務所を置く医療法人は、お金の流れに他地域以上に気を遣う必要がある、という事になります。

この内訳書は、出せばよいというものでも無く、意外と結構見られています。例えば期末の未払金(月跨ぎの支払い等で正当に発生しているものでも)については、その企業の登記簿謄本をすべて取得して、役員との利害関係が無いかどうかの確認をされたこともありますし、医療法人設立後に理事長が「法人名義で」買ってしまった外車(明らかに私用)については、名義の変更まで定款変更手続きが止まってしまいかねない状況(その時は分院の開設日が決まっていたこともあり、変更するという確約書で許してもらいました)になったこともあります。この法人所有車については、そもそも交通手段の発達している東京では「訪問診療をやっている診療所以外は、法人所有する必要が無い」という前提に立っていることもあり、他の公共サービスとの関係性も大きく影響しています。また、都のモデル定款に「信託会社に預け入れ」という文言がある→定款に記載がある事から、私にはよくわからない(笑)投資を行っていたところ、医療法違反という指摘を受け、どんなに損が出ようとも今すぐ売却して状況を解消しなければ、定款変更を認めないという指示が出たこともありました。

地方では、そもそも内訳書を出すことがまずないので、上記のような指摘を受けたことはありません。この記事を書いてしまう事で、地方所管庁がいきなり厳しくなることが無いことを願う(東京ほどでは無いにせよ、厳しくなり始めているのは事実です)ばかり(笑)ですが、今日は地域事情によって提出する書類及び審査内容が大きく変わっていることの一例を書かせていただきました。

実例・経験を基に、少しでもスムーズに審査が進むような書類を作る事、これが私の責務だと思っています。先生方が自力では無く、我々にご依頼頂ける意味をしっかり考えて、これからも先生方のお力になれるよう、経験を積んでいきたいと思います。どんなご相談も、お気軽に頂けましたら幸いです。