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【医療行政ブログ】トンデモ医療の判定について

みなさまこんにちは、行政書士の吉田です。

コロナ禍により、世界中の方々がこれまでの生活とはかけ離れた生活を強いられ、多くの不安を抱えるようになりました。罹患・治療といったコロナそのものに対する不安、経済不安、将来の不安などなど。

私も、不安を抱えながら生きていることに間違いはありません。自分のやるべきことを粛々とやるだけだとわかってはいても、様々不安は募ります。そして、そんな不安に付け込むように、多くのビジネスが展開されています。私がコロナ禍にあって最も許せないのが、この「不安に乗じたビジネス」です。

プロフィールをご覧いただくとわかるように、私は医療従事者では無く、理系の勉強すらまともにしていません。ですので、私が科学的な知識を持ってニセ医学を判定する(論文を精査したり、実際の科学知識を得たり)のは、少々ハードルの高い作業です。これは、多くの方が同様でしょう。

ではどうやってこれらの「不安に乗じたビジネス」から自分の身を守り、トンデモをトンデモと判定しながら生きてこられたのか。それは、「その商品に対する認可がどうなっているか」と「日ごろから私自身が理解できる言葉で、筋の通った科学的知識を伝えてくれている方々がどう言っているか」という二点です。勿論その判断背景には、これまで培ってきた「偽物臭を嗅ぎ分ける」という力もあるとは思っていますが、それは皆様にお伝えするすべが無いのでここでは割愛します。

まず一つ目の認可です。これは私の専門である行政書士の分野と大きくかかわってくるところですが、環境や人体に影響を出しうる(出すと決まっている訳では無い)物は、基本全て許認可事業であると考えて頂くのが間違いありません。特許は別です。(特許は、技術そのものの権利保護だけです。)つまり、医療に関わることは、まともにやろうと思ったらすべて許認可が必要なのです。あまり多くの方に知られている訳ではありませんが、例えば医薬品として国の認可(まずここで一つ)を受けたものを販売するなら、その販売に関する許可が必要です。病院に対して医療機器(注射針等も含む)を下す中間業者さんも、医療機器販売許可を持っていますし、「そこら辺にある」薬局さんは、すべて薬局開設許可を得て、届出をして開業しているのです。

薬局では、許認可さえあれば雑多なものを販売出来ます。薬局によっては、酒類販売の許可を得て、お酒を販売しているところまであります。最近はコンビニでも登録販売者を置けば医薬品を扱えます(登録販売者設置による医薬品店舗販売許可)が、そこでお酒が買えることも珍しくないですよね。

さて商品は、特定の何かに対しての効果が認められると主張するならば、それに対しての審査が行われ、認められている必要があります。それは人体に影響を与えうる、環境に影響を与えうるものだからです。逆に言えば、この許認可が無い、医薬品として認められていないものには「効果が認められていない」訳です。この商品の代表格は、空間除菌という謎の言葉を売りにする「クレ〇リン」ですね。パッケージを見て頂くとわかりますが、医薬第〇類、という、効果の認められているものであれば記載されているはずの記載がありません。つまり、マスクと同じ「ただの雑貨品」です。雑貨品=医薬品に相当しない=効果が認められない=平たく言えばお守りと一緒、です。

この雑貨に相当するものは、特定の効能を謳うことは出来ません。効果を証明できないのですから当たり前ですが、マスク同様「ウイルスを〇%除去」とは書いてあっても、そのウイルスはなんというウイルスなのか、また除菌するならなんという菌が除菌出来るのか、という記載は「できない」のです。効果があるなら証明して、医薬第〇類、という証明を貰えば良いだけなので、つまり証明できていない。〇%の除菌が出来る→コロナにも効くだろう!という消費者心理に付け込んで販売促進を狙いますが、例えば減少したのは全く関係ない○○菌だけだったとか、弱っちい普通のコロナウイルスだけちょっと減った、とかかもしれません。でも雑貨だから法的にはそれで良いのです。

そんなことにお金をかけるくらいならば、多くの専門家が言うように「手指をきちんと石鹸やアルコールで」洗い、手に触れるものを同様に拭く。換気して、空気中に滞留するウイルスを流す。それだけで済むのです。

手を洗ったりせずに、自動的に空気がきれいになってくれているならそれはラッキー!などという、楽に流れたい消費者心理に付け込む商品は、数多く存在しますが、そういったものは許認可を受けていないただの雑貨品であり、何の効果も証明できていないということを、ご理解ください。

また、これらの商品には、既に消費者庁が勧告を出しています。

https://www.caa.go.jp/notice/entry/022403/

https://www.caa.go.jp/notice/entry/019867

その他、多くの識者の先生方が警告を出してくださっています。(Twitterリンクもありますが、お許しください)

https://www.gohongi-clinic.com/k_blog/3764/

ごく一部ではありますが、日ごろからトンデモ医療と戦われている先生方のサイト、リンクです。是非参考までにご覧ください。

TVでのCMや、薬局店頭でのお薦めポップの大きさは、効果に比例しません。また、こういった商品が上記のお守りと大きく異なる点としては、効果が(認められ)無いだけならまだしも、人体への影響が補償されていない点が、最も留意すべき点です。人体への影響のエビデンス(証明)がない理由は一つ。「危険で実験できないから」です。安全に効果があるものは、ちゃんと人体でのチェックを済ませているのですから。

皆様には、こういう時だからこその商売には決して付け込まれること無く、本物と偽物を見分けながら不安と戦って頂くことを、強くお願いします。

☆効果と安全性を考えるなら、許認可を受けた商品かどうかを確認!

☆誰が言っているのか、を見極めましょう!